masamasa1985’s diary

元料理人の和包丁ファンによる堺和包丁のウンチクを語ります。

『本焼』と表記された和包丁なら何でも良いのか?

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近年、インターネットの爆発的普及とともに

ネットショップでも多くの和包丁が販売されて

いるのを目にするようになりました。

 

amazonやYahooショッピング、楽天などで

『和包丁』と検索すると選びきれないほどの

莫大な数の品物が表示されます。

 

今現在、amazonでは約3000商品、

Yahooショッピングは約28000件、

楽天では39000件もヒットします。

 

もちろん、その中で用途による種類で

絞っていくと1/5〜1/4程度の数になります。

柳刃、薄刃、出刃などの種類)

 

プロの現場を数年経験してある程度

和包丁に関する知識等を有しておられる

料理人であれば、そこから更に絞り込みます。

 

たとえば、青紙2号、銀3鋼などといった

鋼の種類別に絞り込みをかけたりします。

 

包丁にこだわりを持つ方であれば、

更に『本焼』などの製造手法まで

絞り込みをかけて検索すると思います。

 

ここで『本焼』と表記された包丁であれば

 

「本焼って書いてあるからこだわって作られてる」

 

と盲目的に考えてしまいがちです。

 

しかし、

 

そのまま安心して購入ボタンを

クリックしてしまうと

痛い目をみてしまいます。

 

ネットショップでは『本焼』にしては

明らかに本来の製造コスト以下の

金額で販売されているものが

多く存在します。

 

そもそも、本焼の定義としては

純粋な鋼のみ(たとえば青2鋼だけ)で

作られた包丁のことを指します。

 

本焼きと区別される手法が、

鋼(たとえば青2鋼など)に柔らかい鉄などを

貼り合わせて制作される『霞包丁』です。

 

それぞれ、一長一短の特性がありますが、

基本的には『本焼包丁』の方が高価です。

 

なぜかと言うと、無垢の鋼は非常に硬いので

相当に熟練された技術がなければ決して

質の高い包丁へと仕上げることができないからです。

 

インターネット上で販売されている

安価な本焼の和包丁は購入して手元に

届いてみればわかると思うのですが、

品質がかなり悪いものが多いです。

 

そもそも、熟練した職人の腕で制作されずに

大量生産の手法で製造されたものばかりです。

 

「当店の包丁は職人の手によって一つ一つ手作りで制作されています」

 

といったようなことが明記されていても、

その職人の腕がどれほどのものかが

商品が届いてみるまでわからないのは

もはやギャンブルと言ってもいいでしょう。

 

本焼(特に鋼のランクが上がって硬度が増すほど)は

数年程度のキャリアの刃物職人では完成品の質に

かなりのバラつきがでるほど難易度が高いものです。

 

そもそもインターネットで和包丁を購入することは

リスクしかありませんのでオススメできません。

 

口コミやレビューの評価が高いものでも

そのほとんどは素人目線での評価です。

 

プロの本職料理人にとってそれがそのまま

当てはまるかと言ったら、それはプロとして

腕をふるっているあなた自身の経験によって

その答えは出せると思います。

 

それ以外にもネット販売されている

『本焼』と表記された包丁には

まだまだツッコミどころみたいなものがあります。

 

たとえば、ステンレス包丁に

『本焼』と表記されているものです。

 

これは

 

「当たり前だろ!!」

 

と総ツッコミを入れたくなりますが、

それほど和包丁の知識がない人などは

 

「本焼きだから良い包丁なんだろう」

 

と思ってしまいます。

 

錆びに強いステンレス包丁を軟鉄を

貼り合わせた霞包丁にして

 

『わざわざ錆びやすくする』

 

ことなんてバカでもしないと思います。

 

ステンレス包丁の利点を殺して

何がしたいんだという感じです。

 

 

今回の記事をまとめるとポイントは3つです。

 

① 本焼の和包丁は熟練の職人が作ったもの以外NG

② ネットショップの『本焼』表記には注意!

③ 和包丁の製法には『本焼』と『霞』がある

 

以上です。

 

今回お伝えしていない

 

『本焼』と『霞』のそれぞれのメリットとデメリットや

使用環境に合わせた選び方などについては

いつも参考にしている下記のサイトで

充実した記事が掲載されています。

 

ほとんどの包丁販売サイトなどでは

掲載されることのないような

『秘匿性の高い業界の裏情報』など

踏み込んだ内容も知る事ができます。

 

料理人の命である包丁にとことん

こだわり抜いてより高みを目指したい

そんな方は一度目を通しておくと

良いかもしれません。

 

>> 和包丁について業界の裏側まで知り尽くす <<

 

 

 

 

和包丁でこだわりを持つポイントとは?

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和食料理人の命ともいうべき和包丁。

 

あなたは和包丁にこだわりを持っていますか?

 

もし、あなたがプロの料理人であるにも関わらず、

特に和包丁に対してこだわりがなく、ある程度の使用感や

価格のみで購入を決定してきたのであれば

おそらくかなりの損害を被っているはずです。

 

これは、お金の面での損害もそうですが、

仕事のクオリティやモチベーションの面での

目に見えない損害が発生してしまっている、

そちらの方がかなり重要となります。

 

目に見えない部分なので気づきにくい

というところも重大な問題です。

 

和包丁に対してのこだわりがないだけで

長期的には大事な出世や昇給の機会すら

逃してしまっている可能性が高いです。

 

でも、安心してください。

 

今回お伝えする和包丁に対する

こだわりのポイントを押さえておいてください。

 

そして、次回からそのポイントにこだわって

和包丁を選ぶようにすれば良いのです。

 

それだけで仕事のクオリティをアップさせ、

毎日の仕事へのモチベーション、料理への

情熱を格段にアップさせることが可能となります。

 

もしかしたら、

独立意識すら芽生えてきて

数年後、見事に独立の夢を果たして

立派なお店を構えているかもしれません。

 

意欲に満ちた数名の料理人を雇い、

あなたが彼らの腕を最大限に伸ばして

引き出してあげる立場となるのです。

 

そして、お店の方もオープンから客足が絶えず、

口コミで話題を呼び雑誌やTVでも特集され、

数ヶ月先まで連日予約で満席の状態となる…

 

それすらも単なる夢物語では済まなくなります。

 

その成功へのステップの第一弾として、

あなたが行うべきことはただ一つ。

 

『和包丁にこだわりを持つこと』

 

だけなのです。

 

 

それでは、これから順番に和包丁への

こだわりの重要なポイントをお伝えしていきます。

 

圧倒的なレバレッジを生み出して

時の経過と共にあなたを成功へと

導く大事な部分となります。

 

なので、

しっかりと頭に叩き込んでおいてください!

 

 

和包丁へのこだわり①

『数ミリの歪(ひず)みも許さない』

 

歪みとは、簡単に言うと包丁が曲がっていることです。

 

ほんの数ミリの歪みであっても、

料理のクオリティに甚大な悪影響を与えます。

 

歪みは自分で研いだりする過程で

発生することが多いですが、

生産段階で歪みをそのままにして

販売されているものも多いです。

 

高額な包丁でも歪みがあるものも存在しますので

購入時には必ず包丁全体が真っ直ぐ綺麗な

直線になっていることを確認してください。

 

 

和包丁へのこだわり②

『重心の位置を意識する』

 

和包丁の特徴の1つとして、

刃とが別々になっていて

それらを組み合わせる工程があります。

 

熟練の職人による柄付けの工程があるのです。

 

この柄付けの工程で歪みを整えたり、

全体のバランスを調整していきます。

 

この柄付けの段階で包丁の重心も決定します。

 

重心の位置が柄に近い部分にあれば

包丁が軽く感じられて疲れにくくなります。

 

このあたりは好みの問題もあるでしょうが、

そこにこだわる料理人はほとんどいません。

 

包丁の重心を意識して選ぶか、

まったく気にも留めないのかで

結果に雲泥の差が生じます。

 

一流の料理人を目指すのであれば

当然チェックしておくべき項目となります。

 

 

和包丁へのこだわり③

『生産者にこだわる』

 

結局は和包丁の良し悪しは素材よりも

もっと重要なところは生産する職人です。

 

特に、堺の和包丁は『鍛冶』『研ぎ』『絵付』

それぞれの工程のプロフェッショナルの手によって

完成へと導かれていきます。

 

どんなに高級な素材を使用していても、

それを最大限に活用した最高のクオリティの

和包丁へと進化させられるのは磨き抜かれた

熟練の腕を持った職人だけです。

 

3つの工程でどれか1つでも

中途半端な人物や大量生産の手法などが

関わっただけですべてが水の泡となります。

 

要するに、素材だけ高級のナマクラが

この世に生み出されるということです。

 

本物の職人だけが関わって製造された

本物の和包丁だけが料理人の100の技術を

120に引き上げてくれる可能性を秘めています。

 

あなたは自分の磨いてきたスキルを

わざわざ20%以上低下させてしまうような

包丁を使おうと思いますか?

 

残念ながら多くの料理人の方が

実際にその過ちを犯してしまっています。

 

料理人の命である包丁にはこだわりを持ってください!

 

それだけで、あなたの料理人としての

人生は半分成功したも同然です。

 

錆びない×切れる×刃持ちも良い三拍子揃った和包丁の鋼材

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鋼を使用した和包丁の最大のデメリットは

やはり、『錆びに弱い』ことにあります。

 

使用後のケアをしっかりとしていないと

すぐに錆びてしまうことも多いです。

 

鋼を使用した和包丁はそのような特徴を持つため

飲食店の中には錆びない包丁しか使用できないと

決められているところも少なくありません。

 

ステンレスや合金などで作られた包丁は

鋼よりも錆びに強いのが最大の特徴です。

 

そして、錆びに強いステンレス、合金にも

複数の種類が存在しており、それぞれ

その特徴は異なります。

 

比較的安価なものから、

高額のものまでラインナップは多種多様で、

初心者向きから上級者向きまでと幅も広いです。

 

その中でオーソドックスなものを

いくつか紹介していきます。

 

プロの料理人が使用する錆びにくい和包丁で

もっともポピュラーで多く利用されているのが

 

銀3鋼』

 

という素材です。

 

銀3鋼は切れ味、刃持ちも高水準で

尚且つ錆びにも強いです。

 

価格は比較的高価ではありますが、

熟練の腕を持つ職人によって仕上げられた

ものであれば、あらゆる使用環境に対応可能で

和食料理人に愛用者は多いです。

 

 

その銀3鋼の改良型として制作されたもので

 

ATS鋼』

 

というものも存在します。

 

錆びへの耐性もかなり強力で、

なおかつ、切れ味、刃持ちともに

申し分ない優秀な鋼材、それが

ATS鋼です。

 

かなり高価なのが難点ですが、

使用した板前さん皆が絶賛するほど

ハイレベルなスペックを持ちます。

 

衛生面でのルールが厳しく、

錆びない包丁しか使用できない職場でも

絶賛に足る満足な使用感を得られるはずです。

 

 

上記2種類の鋼材はプロの料理人が

使用しても高い満足感が得られる代物ですが、

ネックとなるのはやはり金額です。

 

料理人になりたてで、

一式揃える必要がある場合に

到底手を出せる金額ではないはずです。

 

その場合は

 

モリブデン鋼』

 

という家庭用や洋包丁によく使用される

こちらの鋼材も選択肢に上がってきます。

 

刃のつけ方によってはそれなりの切れ味も

引き出すことは可能なので、

メインの食材以外で使用する包丁を

モリブデン鋼にするのも1つの手段です。

 

例えば、刺身メインのところであれば、

柳刃だけは銀3やATSにして、

出刃や三徳などはモリブデンにして

トータルのコストを抑えるといった具合です。

 

あなた自身のスキルや使用環境、

出せる金額を総合して考えることで

バランスの取れた最良の選択が

可能になると思います。

 

人生は思い通りになることの方が

少ないかもしれませんが、

今できることの中から最善を

尽くすことはできると思います。

 

和包丁選びもそれと同じだと思います。

 

可能な限り最良の選択をするかしないかで

出せる成果が大きく変わってくるはずです。

 

1つの作業で出した成果の違いは

ほんの小さなものであっても、

その積み重ねが1ヶ月、半年、1年と

続くことで圧倒的な差となって現れます。

 

それが、職場での評価、地位に影響を

与えるのは当然のこととして、

最終的には社会的な地位や収入の差として

顕著に表れてくるのだと思います。

 

まずは、包丁選びでも妥協せず、

最善を尽くすようにしたいものです。

 

堺の和包丁とその他の和包丁の決定的違いとは…

  

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日本には各地に有名な刃物の産地が存在します。

 

土佐、案来、燕三条など多数ありますが、

和包丁に関してはやはりトップシェアを誇る

で製造されたものが品質が高いです。

 

堺打刃物の歴史

 

堺打刃物の歴史は日本で最も古く、

その起源は古墳時代にまで遡ります。

 

古墳時代(5世紀頃)に大仙陵古墳

現在の大阪堺の地に築造されたとされています。

 

この大仙(仁徳天皇)陵古墳は

クフ王ピラミッド、始皇帝墓陵と並ぶ

世界3代墳墓と称されており、

墳丘長は約486mにも及ぶ前方後円墳です。

 

この巨大古墳を築造するために大量の

鋤や鍬が必要とされたため、

当時、日本中から堺の地に鍛冶職人が

集められたと伝えられています。

 

それが起源となり、

堺の地でハイレベルな鍛冶技術が

研鑽されていくこととなります。

 

戦国時代には日本有数の火縄銃の産地となり、

織田信長からも格別に引き立てられたそうです。

 

 江戸時代になるとタバコが流行し、

タバコの葉を刻むための包丁を

堺の職人たちが製造し始めました。

 

堺製のタバコ包丁の抜群の切れ味と

刃持ちの良さは江戸幕府から専売品として

堺極が附され全国に販売されるに至りました。

 

商人たちで賑わう大阪の地では

食の多様化に伴い、料理用の包丁も

時の流れと共に種類が豊富になっていきました。

 

堺打刃物だけの独自の和包丁製造工程

 

その過程で堺打刃物は分業制の形態となっていきます。

 

大きく分けて、

鍛冶、刃付け、付け、

それぞれに専門の職人が存在します。

 

一本の包丁を仕上げるための各工程ごとに

専門技術を極めし職人が魂を込めます。

 

一本の包丁を製造するすべての工程を

1人の職人が行う場合、鍛冶、刃付け、

柄付けのすべての技術を研鑽していく

必要があります。

 

要するに、各工程の技術を磨くために

費やせる時間が少なくとも3分の1になる

ということです。

 

体操競技に例えるとすれば、

オールラウンダー1人の全種目の総合得点よりも

種目ごとのスペシャリストが出した点数を

足した場合の方が高得点になるのと似ています。

 

学校のテストとは異なり、

技術の向上、研鑽には終わりはありません。

 

職人の腕は商品として販売しても

問題ないレベルに到達した後も

磨き続けられていきます。

 

堺の和包丁が世界中で圧倒的シェアを誇る所以

 

堺で生産された和包丁が他より圧倒的に

高品質なのは、各工程にそれぞれの

スペシャリストが存在しているからです。

 

そこには商品としてお金を払ってもらえる

水準を大きく超越した専門の職人たちの

卓越した技術レベルの見事な調和が感じられます。

 

堺の和包丁とその他の産地の和包丁との

決定的な違いは分業制によるすべての

工程での比類なき技術レベルの掛け算。

 

その一つ一つはほんの僅かな微差かもしれません。

 

しかし、

 

各工程で生じたその微差が

一本の包丁に掛け算として集結した場合、

それは他の追随を決して許さない

圧倒的な差となって現れる。

 

その結果、堺の和包丁が世界的に

トップシェアを獲得している。

 

だと感じています。

 

 

 

和包丁の鋼、あなたは白鋼と青鋼どっちにすべきか?

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白鋼青鋼の大きな特徴の違い

白1鋼、白2鋼のように鋼の硬さの

違いはわかった。

 

「で、結局オレはどの鋼の包丁にすればいいんだ!」

 

そう悩んでいるあなたに今回は

それぞれの特徴を最大限に生かす

あなたの立ち位置と使用環境に合った

鋼の選び方を紹介します。

 

参考にして頂ければ嬉しく思います。

 

まず、大前提として頭に

入れておいて頂きたいのが

 

鋼が硬くなると

扱いの難易度がアップする

 

という点です。

 

鋼が硬くなると切れ味は鋭くなり

食材の細胞の破壊を最小限に

食い止めることが可能となります。

 

なので、新鮮なお刺身などでは

品質面でそれが顕著に実感できます。

 

しかし、

 

圧倒的な鋭い切れ味を誇る包丁は

硬度が高い分、慎重に扱わないと

刃こぼれを起こしてしまったりと

何かとストレスを感じることも多いです。

 

もちろん、使用者が和包丁の扱いに

熟練の技術を持ち合わせていれば

鋼の種類など、包丁の特性に合わせた

取り扱いができるので問題ありません。

 

和包丁は鋼が高級グレードになれば

その分取り扱いが難しい。

 

ということを覚えておいてください。

 

このことを無視して技術もないのに

白1鋼や青1鋼の和包丁をいきなり

購入してしまうとおそらく満足に

研ぐことすらできずに困り果てると思います。

 

特に青鋼は耐摩耗性に優れている分、

研ぎの難易度も高く、一朝一夕で

身につくような技術ではないので

購入を検討される場合は注意が必要です。

 

ただ、だからと言って

 

「初心者が青鋼を持つな!」

 

というわけでもありません。

 

やはり、業態によっては1日に

大量の食材の切りつけが必要で、

間に研ぎ直しの余裕すらない

業態だってあると思います。

 

その場合は、初心者でも青2鋼くらいの

和包丁を選択しておいた方がメリットが

多い場合があるのも事実です。

 

研ぎに関しては青鋼を使用している

上司や先輩に教わりながら少しずつ

マスターしていくこともできると思います。

 

(まぁ、初心者にそんな肝の部分を

いきなり任せる職場は少ないでしょうが…)

 

初心者は基本的には研ぎの難易度も低く、

扱い易い上に和包丁としての必要十分な

切れ味等を備えている白3鋼くらいが

ちょうど良いかと思います。

 

ただ、その際、一つだけ注意が

必要なポイントがあります。

 

それは、

 

白3鋼の場合、鍛造方法によっては

十分な硬度が得られずに『ナマクラ』

になってしまう恐れがあることです。

 

伝統的な堺打刃物の鍛造方法のように

職人がその手で一つ一つ熱した鋼を

叩き上げる手法であれば十分な炭素が含まれ

白3鋼であってもかなりの硬度となります。

 

(職人の技術レベルによって変わりますが…)

 

それが、機械を使用して

鋼を伸ばす手法になると鋼に十分な

炭素が行き渡らず硬度が不足してしまいます。

 

なので、初心者でも白3鋼というよりは、

鋼の鍛造方法にいかんによっては

白2鋼が望ましい場合もあるということです。

 

 

まとめるとこうなります。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

刃持ち、切れ味の持続性必須

→青鋼

 

技術レベル高

→青1鋼

 

技術レベル低

→青2鋼

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

最高レベルの切れ味が必要で

和包丁の扱いにも長けている

→白1鋼

 

青鋼よりも研ぎやすい方が良い

→白2鋼

 

初心者

→白3鋼(プロ用として△なことも)

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

もちろん、白鋼と青鋼だけでなく、

和包丁の鋼材にはまだまだ多くの

種類が存在します。

 

そして、どれも様々な使用環境を

想定された利点を持っています。

 

今後、それらについても随時

ご紹介していく機会を設けようと思います。

 

 

 

 

和包丁の鋼の種類(白鋼、青鋼)別の特徴について

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和包丁に使用される鋼材には

複数の種類が存在します。

 

中でも、伝統的でポピュラーなものが

『鋼(ハガネ)』となります。

 

他にも、ステンレスや合金などあり、

それらにも多数の種類があります。

 

今回は、鋼(白鋼青鋼)の特徴について

解説していきたいと思います。

 

 

白鋼と青鋼の最大の違いって何?

 

プロ用の和包丁に使用される鋼には

白鋼と青鋼があります。

(黄鋼はプロ用に適さないので除外)

 

お店によっては白紙○号、青紙○号のように

いくつか呼び方が異なる場合があります。

 

どちらも、日立金属で生産された鋼となり、

生産時にそれぞれを区別するために

白鋼には白い紙、青鋼には青い紙を貼って

管理していたためそう呼ばれるようになったらしいです。

 

なので、実際に包丁の刃が白かったり、

青かったりするわけではありません。

 

まず、白鋼と青鋼の最大の違いですが、

切れ味の持続性に大きな差が生じます。

 

白鋼よりも青鋼の方が刃持ちが良く、

より多くの食材の切りつけが可能です。

 

わかりやすいように極端な例で説明すると、

 

白鋼だったら刺身を10人前切りつけたら

一度研がない限り、切れ味が落ちて刺身の

質の低下を招いてしまうとします。

 

それが青鋼の場合だと途中で研がなくても

刺身50人前切りつけられる。

 

といった感じです。

 

どうしてこのような違いが生じるのかというと、

鋼に含有される金属の成分が異なるからです。

 

基本的には、青鋼という素材は

白鋼にタングステンやクロムといった

金属を混ぜ合わせ刃に粘度を持たせることで

白鋼よりも切れ味の持続性を高めています。

 

要するに耐摩耗性に優れているから

刃の切れ味が持続する。

 

ということになります。

 

そして、白鋼と青鋼に関してもう1つ

疑問点として浮かび上がるのが1号や

2号(または1鋼や2鋼)といった数字です。

 

 

白1鋼とか青2鋼とかの数字って

どんな意味があるの?

 

これも販売店によっては呼び方が異なります。

 

白紙1号とか、白鋼1号とか、白1鋼などと

いろんな呼ばれ方をされていますが、

素材は日立金属の鋼なので同じものです。

 

この1号とか2号といった数字が表すもの

それは、鋼が含有する『炭素量』となります。

 

ご存知の通り、地球上のあらゆる物質は

炭素含有量が多いほど『硬度』が高くなります。

 

要するに炭素を多く含んでいれば

その分カッチカチに『硬い』ということです。

 

硬い物質で代表的なものがダイヤモンドです。

  

ダイヤモンドは天然の鉱物の中では

地球上でもっとも硬いといわれています。

 

2号よりも1号の方が炭素含有量が多く、

それだけ硬いということになります。

 

では、今回お伝えした白鋼と青鋼の

それらの違いを和包丁選びにどのように

生かしていけばいいのでしょうか?

 

それはまた次の機会にお伝えします。

 

 

最高級の和包丁はどこで販売されているのか?

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和食の道に数十年携わってきた

料理人の多くは包丁にも独自の

こだわりを持っています。

 

中にはコレクションのように

自慢の和包丁をディスプレイして

眺めている方もいるほどです。

 

「最高級の切れ味を持つ包丁だから使えばいいのに…」

 

我々から見たらそう思うのですが、

彼らにとっては、それが最高の喜びであり

ある種、趣味の一つでもあるようなのです。

 

これは何にでも言えることなのですが、

コレクションの欲求が芽生えれば人は

際限なく収集しようとしてしまいます。

 

時計やオモチャ、骨董(美術)品などが

その代表と言えます。

 

それと同じで、

和包丁も極めて高い芸術性と

希少性を有しているため、

マニアの食指を動かすことができるのです。

 

数百年以上に渡って研鑽され続けてきた

伝統技術を継承した職人の手作業によって

仕上げられた作品は日本刀さながらの

魂が感じられる独特の魅力を放ちます。

 

現在では、海外からもその価値が評価され

世界各地の料理人をはじめ、

多くのコレクターが和包丁を

買い集めているようです。

 

しかし、

 

現在では伝統的な和包丁を

製造する技術を継承した職人も

ごく少数となってしまっている

厳しい現実に直面しています。

 

日本各地で世界水準を大きく上回る

上質な刃物の産地は複数存在しています。

 

その中でも特に『和包丁』の製造で

圧倒的に飛び抜けているのが大阪の堺です。

 

堺打刃物の伝統は古くは安土時代まで遡り、

そこから現代に至るまで600年以上もの

歳月を経て技術は継承され、研鑽され

続けてきました。

 

江戸時代にはその高い品質が評価され、

江戸幕府によって最高品質のお墨付きであり、

他の産地との差別化を図る目的として

『堺極』が附され専売されました。

 

現在でも和包丁の市場では圧倒的である

90%以上の業界シェアを誇ります。

 

そんな世界を魅了するジャパンメイドの

フラッグシップのような存在の堺の刃物職人も

現在では後継者問題に頭を悩ませています。

 

今現在、本当にごく少数しか本物の技術を

有した堺の刃物職人は存在していないのです。

 

600年以上研鑽されてきた独自の技術によって

生産された和包丁が高い『美術性』となるのであれば、

 

刃物職人がこの先更に少数になることを

想定するのであれば、それは圧倒的な

『希少価値』となって市場でのブランド、

価格の急騰となって現れるかもしれません。

 

以上のことから、

最高級の和包丁は大阪堺で製造されたもので、

すべての工程でそれぞれ一流の職人が手作業で

作りあげたものであることは間違いありません。

 

最高級の定義として、

それが必須条件と言えるでしょう。

 

あとは、鋼のグレードと品質、

細かい製造技法による性質面、

柄の種類による製造原価によって

価値が増減することとなります。

 

結論:

最高級の和包丁は伝統的な堺打刃物の

技術を継承した各工程の職人が作りあげたものを

販売している店舗で購入できる可能性が高い。

 

※まだ検討段階ですが、

良い販売店を発見したら報告します。

プロ用の和包丁を販売する優良店を見極める方法

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プロの料理人が使用する和包丁を販売する

店舗やインターネットのサイトはたくさん

存在しています。

 

「素材や長さが同じならどこで買っても一緒だろ!」

 

そう考えている方も多いかと思います。

 

しかし、

 

その考えのまま少しでも安く購入可能な

お店を探すことは失敗につながります。

 

最悪の場合、粗悪品をつかまされて

無駄金を浪費してしまう恐れもあります。

 

そうならないために、

あなた自身とあなたの使用環境に最適な

最高の和包丁を可能な限り安価にて

購入できるお店の選び方を伝授します。

 

 

和包丁を販売する優良店の見極め方①

“保証がしっかりしている”

 

長期的な和包丁の使用に祭し、

トラブルも多く発生すると思います。

 

たとえば、刃こぼれを起こした場合には

自分で研いで修復するためにはかなりの

時間と労力を割かなければいけません。

 

ほとんどの料理人は毎日仕込みから夜遅く、

もしくは明け方まで常に仕事に追われていることが多く、

刃こぼれを自分で研ぎ直す暇などないと思います。

 

そんな時に近所の刃物屋などで刃こぼれの

修理を依頼するとします。

 

本当に和包丁のことをよく理解していて

和包丁を修理するノウハウも持っており、

それを可能にする技術も有していればいいのですが…

 

近所の

 

『包丁の研ぎ直し致します。』

 

と看板を掲げているほとんどのお店では

満足のいく和包丁の修理は難しいようです。

 

一般的な家庭用の包丁程度ならそれでも

十分な仕上がりを得られるのでしょうが、

本物の和包丁となると結果がまったく異なります。

 

ただ、そうなると

 

「俺の和包丁、どこで修理すればいいんだ!」

 

という状態に陥ると思います。

 

そんな時に、アフターフォローが充実した

購入時に明確な保証を提示してくれる

ところで購入していると販売店が製造元で

完璧な修理をしてくれるのです。

 

基本的には修理は有料のところが多いようです。

 

しかし、自分で修理ができない状態や

ヘタに近所の専門外のところに修理に出して

とてもプロの仕事として満足いかないほどの

悲惨な仕上がりで返ってくるリスクを想定すると

有料でも完璧に仕上げてもらった方がいいです。

 

和包丁を販売する優良店の条件として

 

『保証がしっかりしている』

 

ことは必須の条件だと言えます。

 

購入前に、お店の方に

 

「購入後の修理や研ぎ直しなどは

こちらのお店でやって頂けますか?」

 

 

などの質問をしてみて明確に保証内容を

説明してくれるのであれば優良店である

可能性が高いです。

 

 

和包丁を販売する優良店の見極め方②

“実際に手に取って現物を確認できる”

 

現在ではインターネットの爆発的普及により

通販で和包丁を販売するお店も多いです。

 

しかし、通販では商品を実際に手にとって

あなた自身の感覚を通じて選択することが不可能です。

 

また、画像や商品説明文にはメリットとなる

要素しか載せられていないので、

その商品がすごく良いように

感じさせれてしまいます。

 

そして、そのまま迷わず購入ボタンを

クリックするよう誘導させられる

構成になっています。

 

もしかしたら、優良店の可能性もありますが、

現物が届いてみない限り判断できません。

 

そのサイトの実店舗がある場合には

足を運んで現物をみてみることを

オススメしますが、遠方の場合

それも難しいと思います。

 

和包丁の販売店の中には出張費ゼロで

あなたの職場までサンプルを見せに来て

くれる出張販売を行っている業者もあります。

 

お店に行く手間やどんな商品が届くか

わからないリスクがなく、更に商品知識が

豊富な販売員に質問し放題なのでその場で

優良店かどうかの判断も可能です。

 

購入の手段の一つとして有力な

出張販売での購入を検討するのもいいかと思います。

 

 

和包丁を販売する優良店の見極め方③

“お客の情報から最良のものを提案してくれる”

 

ただお客の足元を見てできるだけ

利益の取れる商品を提示してきたり、

駆け出しの料理人に身の丈に合わない

高級な和包丁を提案してくる。。。

 

そんな業者も数多く存在します。

 

こちらの使用環境や現在の料理人としての

立ち位置やスキル等を自然にお客から引き出し

最良のものを提案できる販売店はかなり優秀です。

 

お客のことを第一に考え、

最良の提案をしてくれる。

 

しっかりとヒアリングをして最良の答えを

明確に示してくれることは料理人にとって

有難いことだと思います。

 

 

 

 

【本職に聞いた】人気ランキング上位のブランド和包丁って本当に良質?

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和食に携わる料理人であれば

誰もが一度は憧れるブランド和包丁…

 

そんなブランド和包丁の中でも常に

多くの料理人達からの高い人気を誇る

有名ブランド和包丁について本職からの

意見をまとめていきたいと思います。

 

 

Q.「有名なブランド和包丁にはどんなものがありますか?」

A.『有次、正本はかなり有名。最近では實光も話題!』

 

Q.「それら人気のブランド包丁は実際使ってみてどうですか?」

A.『悪くはないけど、コスパは良くはない。最近はもっと手頃で

良い包丁を出しているところも結構ある』

 

Q.「でも、やはり人気なのにはそれなりのわけがありますよね?」

A.『包丁に限らずブランド品なんて自己満足の世界だし、

製品以外のとこにお金かけて価値があるように見せてるだけだからね。

実際、もの自体がいいかって言ったら悪くはないけど、高すぎるかなと。』

 

Q.「ブランド包丁のメリットを教えてください」

A.「やっぱり、手に入れることで得られる満足感が違うかな。

それと、周りからちょっとだけ羨ましがられる。

実用面だと刃がかけた時なんかのアフターフォローが明確で

安心できるものが多いかな。」

 

Q.「ブランド包丁のデメリットを教えてください」

A.『高い』

 

Q.「良い包丁の条件とはなんだと思いますか?」

A.『良く切れて、長く切れて、研ぎやすく、扱いやすい』

 

Q.「それらの条件に当てはまる包丁を持ってますか?」

A.「持ってない、というか、それに近いものはあっても

完璧なのはおそらく存在しない」

 

Q.「では、限りなく理想に近い和包丁を選ぶにはどうすれば良いですか?」

A.『実際に見て、握って、可能ならば試し切りしてから買う。

その前に和包丁に関する知識をある程度勉強して基準を設けておく』

 

 

ということでしたので、

結論をまとめさせて頂くと、、、

 

『人気のブランド和包丁より安くて良い包丁はある!』

『ブランド和包丁を所有すると満足感が得られる!』

『ブランドよりも重要な選ぶポイントはたくさんある!』

 

ということでした。

 

金銭的に余裕のある方であれば人気のブランド和包丁の

購入を検討するのも高い満足感が得られるので有りかと思います。

 

しかし、

 

下積み中で金銭的に余裕がない場合には無理せずに

手の届く範囲内で自分に合った良い包丁を探すということも

大事なことだと思います。

 

仮に、無理してローンなどでブランド和包丁を購入しても

月々の支払いに追われ、日常生活でかなり犠牲にしなければ

ならない部分も生じてくるかと思います。

 

厳しい料理の世界で修行を積むことはそれだけでも

かなりの重労働でストレスも多い環境だと思います。

 

そんな中、いざ、オフの時に日頃の重圧から解放するために

好きなことをしようとしてもそこに回せるお金が残ってない。。。

 

そんな事態が続くと更に鬱憤が溜まっていきます。

 

そのような状態では仕事に全力で取り組むほど

エネルギーも充電できるはずがありません。

 

一時の満足感や見栄のためにコスパの悪い

ブランド包丁を購入してしまうことで

オンオフのバランスを崩壊させてしまう…

 

これでは、料理修行にも身が入らずに

徐々に仕事に対するモチベーションも

喪失していってしまうかもしれません。

 

和包丁はコストパフォーマンスを重視することで

最終的に公私でバランスの取れた豊かな生活を

生み出してくれることに繋がるはずです。

プロが教える和包丁の選び方3つのポイント

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高級料亭や、老舗旅館、回らない寿司店などで

腕を振るうキャリア数十年の料理人たちが密かに

実践している和包丁選び3つのポイントをお伝えします。

 

この3ポイントに沿って和包丁を選べば

たとえあなたが包丁選びの初心者であっても

和包丁選びに失敗して数万円の現金を損する

などということはなくなります。

 

※今回お伝えする内容は和包丁の使用用途別の

選び方(刺身→柳刃など)ではなく、

もう少し踏み込んだ『質』の面での

選ぶポイントをお伝えしていきます。

 

 

和包丁選びのポイント①

『包丁の鋼材に注目する』

 

和包丁の醍醐味はなんといっても

その抜群の切れ味にあります。

 

切れ味を左右する決定的な要素となるのが

包丁の刃の部分の鋼の材質です。

 

一言でいうと、鋼材が固ければ固いほど

その包丁の切れ味は鋭くなります。

(研ぎがしっかりされていることが前提)

 

鋼材の硬度は基本的にはその鋼に含有される

炭素の量によって決定づけられます。

 

では、具体的に鋼の種類はどのようなものがあり、

何がどれくらいの硬度を誇るのかについては

また別の機会にお伝えします。

 

今回は、和包丁を選ぶポイントの1つに

鋼材の種類があることを頭に入れておいてください。

 

 

和包丁選びのポイント②

『錆びるか錆びないかで選ぶ』

 

これは、先ほどの鋼の種類と関連します。

 

和包丁の鋼材には大きく分けて“錆びやすい”『鋼(ハガネ)』と

“錆びにくい”『ステンレス(合金)』にわけられます。

 

それぞれに複数の種類があり、

各々、切れ味や刃の持続性や

研ぎやすさなどに特徴があります。

 

それらの詳細についても別の機会で

お伝えしていきます。

 

今回は、和包丁には錆びやすい鋼材と

錆びにくい鋼材があることを把握しておいてください。

 

 

和包丁選びのポイント③

『通販で買わない』

 

「包丁なんて使用してる金属が同じなら

大体どこで購入しても大差ないだろう!」

 

という認識の人が意外と多いです。

 

洋包丁など大量生産によって製造される

包丁であれば確かに品質はある程度

均一に保たれているかもしれません。

 

しかし、

 

伝統的な製造法によって作られる

和包丁は基本的にはすべて職人の

手作業によるものです。

 

これは、鋼を鍛え上げる鍛造から

刃付けや柄付けに至るまですべて

別々の熟練の職人がそれぞれ

担当しています。

 

それぞれ職人や工場、生産地によって

かなりクセが異なり使用者によって

合う合わないが生じます。

 

最低限、ご自身の手で握ってみて

フィーリングを確認してから購入しないと

まったくご自身に合わない包丁で

日々作業しなければならなくなります。

 

あなたにどんな目的があり、

どんな気分で料理をし、

誰に喜んでもらいたいのか。

 

それらを考えたときに自分に合うか合わないか

不明なまま包丁の購入を決定することは

かなりリスキーで非合理的な行為かわかるはずです。