masamasa1985’s diary

元料理人の和包丁ファンによる堺和包丁のウンチクを語ります。

錆びない×切れる×刃持ちも良い三拍子揃った和包丁の鋼材

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鋼を使用した和包丁の最大のデメリットは

やはり、『錆びに弱い』ことにあります。

 

使用後のケアをしっかりとしていないと

すぐに錆びてしまうことも多いです。

 

鋼を使用した和包丁はそのような特徴を持つため

飲食店の中には錆びない包丁しか使用できないと

決められているところも少なくありません。

 

ステンレスや合金などで作られた包丁は

鋼よりも錆びに強いのが最大の特徴です。

 

そして、錆びに強いステンレス、合金にも

複数の種類が存在しており、それぞれ

その特徴は異なります。

 

比較的安価なものから、

高額のものまでラインナップは多種多様で、

初心者向きから上級者向きまでと幅も広いです。

 

その中でオーソドックスなものを

いくつか紹介していきます。

 

プロの料理人が使用する錆びにくい和包丁で

もっともポピュラーで多く利用されているのが

 

銀3鋼』

 

という素材です。

 

銀3鋼は切れ味、刃持ちも高水準で

尚且つ錆びにも強いです。

 

価格は比較的高価ではありますが、

熟練の腕を持つ職人によって仕上げられた

ものであれば、あらゆる使用環境に対応可能で

和食料理人に愛用者は多いです。

 

 

その銀3鋼の改良型として制作されたもので

 

ATS鋼』

 

というものも存在します。

 

錆びへの耐性もかなり強力で、

なおかつ、切れ味、刃持ちともに

申し分ない優秀な鋼材、それが

ATS鋼です。

 

かなり高価なのが難点ですが、

使用した板前さん皆が絶賛するほど

ハイレベルなスペックを持ちます。

 

衛生面でのルールが厳しく、

錆びない包丁しか使用できない職場でも

絶賛に足る満足な使用感を得られるはずです。

 

 

上記2種類の鋼材はプロの料理人が

使用しても高い満足感が得られる代物ですが、

ネックとなるのはやはり金額です。

 

料理人になりたてで、

一式揃える必要がある場合に

到底手を出せる金額ではないはずです。

 

その場合は

 

モリブデン鋼』

 

という家庭用や洋包丁によく使用される

こちらの鋼材も選択肢に上がってきます。

 

刃のつけ方によってはそれなりの切れ味も

引き出すことは可能なので、

メインの食材以外で使用する包丁を

モリブデン鋼にするのも1つの手段です。

 

例えば、刺身メインのところであれば、

柳刃だけは銀3やATSにして、

出刃や三徳などはモリブデンにして

トータルのコストを抑えるといった具合です。

 

あなた自身のスキルや使用環境、

出せる金額を総合して考えることで

バランスの取れた最良の選択が

可能になると思います。

 

人生は思い通りになることの方が

少ないかもしれませんが、

今できることの中から最善を

尽くすことはできると思います。

 

和包丁選びもそれと同じだと思います。

 

可能な限り最良の選択をするかしないかで

出せる成果が大きく変わってくるはずです。

 

1つの作業で出した成果の違いは

ほんの小さなものであっても、

その積み重ねが1ヶ月、半年、1年と

続くことで圧倒的な差となって現れます。

 

それが、職場での評価、地位に影響を

与えるのは当然のこととして、

最終的には社会的な地位や収入の差として

顕著に表れてくるのだと思います。

 

まずは、包丁選びでも妥協せず、

最善を尽くすようにしたいものです。