masamasa1985’s diary

元料理人の和包丁ファンによる堺和包丁のウンチクを語ります。

『本焼』と表記された和包丁なら何でも良いのか?

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近年、インターネットの爆発的普及とともに

ネットショップでも多くの和包丁が販売されて

いるのを目にするようになりました。

 

amazonやYahooショッピング、楽天などで

『和包丁』と検索すると選びきれないほどの

莫大な数の品物が表示されます。

 

今現在、amazonでは約3000商品、

Yahooショッピングは約28000件、

楽天では39000件もヒットします。

 

もちろん、その中で用途による種類で

絞っていくと1/5〜1/4程度の数になります。

柳刃、薄刃、出刃などの種類)

 

プロの現場を数年経験してある程度

和包丁に関する知識等を有しておられる

料理人であれば、そこから更に絞り込みます。

 

たとえば、青紙2号、銀3鋼などといった

鋼の種類別に絞り込みをかけたりします。

 

包丁にこだわりを持つ方であれば、

更に『本焼』などの製造手法まで

絞り込みをかけて検索すると思います。

 

ここで『本焼』と表記された包丁であれば

 

「本焼って書いてあるからこだわって作られてる」

 

と盲目的に考えてしまいがちです。

 

しかし、

 

そのまま安心して購入ボタンを

クリックしてしまうと

痛い目をみてしまいます。

 

ネットショップでは『本焼』にしては

明らかに本来の製造コスト以下の

金額で販売されているものが

多く存在します。

 

そもそも、本焼の定義としては

純粋な鋼のみ(たとえば青2鋼だけ)で

作られた包丁のことを指します。

 

本焼きと区別される手法が、

鋼(たとえば青2鋼など)に柔らかい鉄などを

貼り合わせて制作される『霞包丁』です。

 

それぞれ、一長一短の特性がありますが、

基本的には『本焼包丁』の方が高価です。

 

なぜかと言うと、無垢の鋼は非常に硬いので

相当に熟練された技術がなければ決して

質の高い包丁へと仕上げることができないからです。

 

インターネット上で販売されている

安価な本焼の和包丁は購入して手元に

届いてみればわかると思うのですが、

品質がかなり悪いものが多いです。

 

そもそも、熟練した職人の腕で制作されずに

大量生産の手法で製造されたものばかりです。

 

「当店の包丁は職人の手によって一つ一つ手作りで制作されています」

 

といったようなことが明記されていても、

その職人の腕がどれほどのものかが

商品が届いてみるまでわからないのは

もはやギャンブルと言ってもいいでしょう。

 

本焼(特に鋼のランクが上がって硬度が増すほど)は

数年程度のキャリアの刃物職人では完成品の質に

かなりのバラつきがでるほど難易度が高いものです。

 

そもそもインターネットで和包丁を購入することは

リスクしかありませんのでオススメできません。

 

口コミやレビューの評価が高いものでも

そのほとんどは素人目線での評価です。

 

プロの本職料理人にとってそれがそのまま

当てはまるかと言ったら、それはプロとして

腕をふるっているあなた自身の経験によって

その答えは出せると思います。

 

それ以外にもネット販売されている

『本焼』と表記された包丁には

まだまだツッコミどころみたいなものがあります。

 

たとえば、ステンレス包丁に

『本焼』と表記されているものです。

 

これは

 

「当たり前だろ!!」

 

と総ツッコミを入れたくなりますが、

それほど和包丁の知識がない人などは

 

「本焼きだから良い包丁なんだろう」

 

と思ってしまいます。

 

錆びに強いステンレス包丁を軟鉄を

貼り合わせた霞包丁にして

 

『わざわざ錆びやすくする』

 

ことなんてバカでもしないと思います。

 

ステンレス包丁の利点を殺して

何がしたいんだという感じです。

 

 

今回の記事をまとめるとポイントは3つです。

 

① 本焼の和包丁は熟練の職人が作ったもの以外NG

② ネットショップの『本焼』表記には注意!

③ 和包丁の製法には『本焼』と『霞』がある

 

以上です。

 

今回お伝えしていない

 

『本焼』と『霞』のそれぞれのメリットとデメリットや

使用環境に合わせた選び方などについては

いつも参考にしている下記のサイトで

充実した記事が掲載されています。

 

ほとんどの包丁販売サイトなどでは

掲載されることのないような

『秘匿性の高い業界の裏情報』など

踏み込んだ内容も知る事ができます。

 

料理人の命である包丁にとことん

こだわり抜いてより高みを目指したい

そんな方は一度目を通しておくと

良いかもしれません。

 

>> 和包丁について業界の裏側まで知り尽くす <<